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国際協力支援 −緑豊かな地球環境のために

 森林は温室効果ガスの1つである二酸化炭素を吸収します。ですから、私たちが気候変動対策を考えるときに、森林の果たす役割は大変重要です。
 一方、世界の森林面積は、1990年の41.28億haから、2015年には39.99億haに減少したとされています。25年間で1.29億haの森林面積が減少した計算になります。減少の速度は1990年代の年率0.18%から2010〜2015年までの5年間は0.08%と低下の傾向にありますが、これは森林減少面積が縮小した国と森林面積が増加した国があることによります。また、近年、世界各国において持続的森林経営に対する関心が高まっており、それに関連する法整備も徐々に整いつつあることも森林減少率の低下に貢献していると考えられます。(FRA2015, FAO)

 数年来、森林にフォーカスした気候変動対策として、REDD+が大きな注目を集めて来ました。REDD+とは、Reducing emissions from deforestation and forest degradation and the role of conservation, sustainable management of forests and enhancement of forest carbon stocks in developing countriesの略で、日本語では「途上国における森林減少・森林劣化に由来する排出の抑制、並びに森林保全、持続可能な森林経営、森林炭素蓄積の増強」と訳されています。
 REDD+は、森林減少や劣化を抑制し、温室効果ガスの排出量削減と吸収量増大を達成した途上国に対し、その成果を評価した上で一定のインセンティブを与える仕組みです。我が国でも国際協力機構(JICA)を中心に、REDD+の推進に貢献する協力プロジェクトが各国で実施中です。

 日林協は、これらのプロジェクトの多くにコンサルタントとして技術者を現地派遣し、森林資源の把握や維持管理に係る技術の移転を行っています。また、途上国からの研修員の受入実績も60カ国を超えています。
 この様な形で、日林協は、地球温暖化防止に貢献しています。

当協会の国際協力実施状況
当協会の国際協力実施状況

各国・各地域での具体的な活動について

以下の案件名をクリックしてください。
コンゴ民主共和国持続可能な森林経営及びREDDプラス促進のための国家森林モニタリングシステム強化プロジェクト
南部アフリカ地域持続可能な森林資源管理・保全プロジェクト
COMIFAC諸国における生物多様性・利用および気候変動対策促進プロジェクト
イラン国カルーン河上流域における参加型森林・草地管理能力強化プロジェクト
ベトナム国持続的自然資源管理プロジェクト
・ガボン国持続的森林経営に資する国家森林資源インベントリーシステム強化プロジェクト(外部サイト)(英語・仏語)
・ニカラグア国住民による森林管理計画(JICAサイト)
・ドミニカ共和国サバナ・イェグァ・ダム上流域流域管理計画調査(JICAサイト)
・ドミニカ共和国サバナ・イェグァ・ダム上流域の持続的流域管理計画プロジェクト(JICAサイト)
 

コンゴ民主共和国持続可能な森林経営及びREDDプラス促進のための国家森林モニタリングシステム強化プロジェクト

プロジェクトの概要
 発注者:独立行政法人 国際協力機構(JICA)
 実施期間:5年7ヶ月(2012年7月から2018年2月)
 実施機関:コンゴ(民)環境・持続可能開発省 森林整備・インベントリー局(DIAF)
 対象エリア:バンドゥンドゥ州(州分割により現在はKwango州、Kwilu州、Mai-Ndombe州)
 プロジェクトの目標:持続的森林管理とREDD+実施のための国家森林モニタリングシステム(NFMS)が構築される。

背景
 コンゴ民主共和国(以下コンゴ民国)は中部アフリカに位置し、その国土面積は2,345,000km2(日本の約6.2倍)、人口はおよそ6,780万人の国です 。コンゴ民国が位置するコンゴ盆地地域には、アマゾンに次ぐ面積を有する熱帯雨林が広がり、“地球の片肺”とも呼ばれ、炭素吸収源として気候変動対策の観点からもその重要性が認識されています。
 しかしこの国の熱帯雨林も、農地開拓、薪炭材利用、違法伐採など様々な人為活動により減少傾向にあり、その保全は地球全体にとって重要な課題となっています。
 コンゴ民国は、1997年に国連気候変動枠組条約(UNFCCC)、2005年に京都議定書を批准し、森林減少・劣化に由来する温暖化ガス排出量を削減するREDD+のプロセスを推進しています。JICAは持続可能な森林経営とREDD+の実現に必要な国家森林モニタリングシステム(NFMS)の構築を推進するため、環境・持続的開発省と協力して旧バンドゥンドゥ州の森林モニタリングシステムの開発を行っています。

プロジェクトの5つの期待される成果
 成果1:旧バンドゥンドゥ州(パイロット州)の森林基盤図が作成される。
 成果2:国家森林資源インベントリーの地上調査手法と手順が開発される。
 成果3:国家森林資源データベースが構築される。
 成果4:国家森林資源モニタリングシステム(NFMS)が設計され、その運用計画が策定される。
 成果5:基本FREL(参照レベル)設定方法論を森林インベントリーシステム手順書に記述する。
プロジェクトで作成した旧バンドゥンドゥ州の森林インベントリーマニュアルをベースに、FAOと連携してNFI(国家森林インベントリー)マニュアルを作成しました。また、旧バンドゥンドゥ州のFREL文書は、UNFCCCに提出したコンゴ民国のFREL文書に添付されました。



南部アフリカ地域・持続的森林管理のための能力開発プロジェクト

プロジェクトの概要
 発注者:独立行政法人 国際協力機構(JICA)
 実施期間:5年(2015年7月から2020年6月)
 実施機関:SADC-食糧・農業・天然資源局 及びSADC加盟国の森林関係部局
 対象エリア:SADC加盟国(15カ国)
 プロジェクトの目標:森林保全と持続的な森林資源管理を推進するためのSADC加盟国及びSADC事務局の能力が向上する。

背景
 南部アフリカ開発共同体(以下、SADC)は経済面での連携を重点においた地域間協定の枠組みを指し15の加盟国(プロジェクト開始時点:現在は16加盟国)で構成されています。その内訳は地理的に非常に多様であり、気候的に見ても熱帯域、亜熱帯域、乾燥・半乾燥帯域など国によって属する気候帯が異なっています。また、島嶼国から大陸に属する国などで各国の森林減少・劣化に繋がるドライバが異なる場合もあって森林保全に関する取組み状況にも違いがあります。
 こうした自然的、社会的な差異はあるものの、SADCは域内における自然環境分野の共通の取組みとして2002年に森林議定書を採択しています。森林議定書では3つの目的を掲げていますが、これを実現するために以下8つの戦略分野を特定し、2010年から2020年にかけて取組むことになっています。
 本プロジェクトでは、この中で特に(4)、(6)、(7)、(8)に関連する分野を技術的に支援することを目的としています。


<SADC自然環境分野において取組むべき8つの戦略分野>
 (1) 気候変動の緩和・適応
 (2) 重要な集水域保全
 (3) エネルギー供給と農村の貧困削減
 (4) 参加型森林管理の拡大
 (5) 森林製品の地域内取引の拡大
 (6) 国境を跨ぐ森林管理・火災管理への協力
 (7) 森林の評価及び情報管理
 (8) SADCの能力向上




プロジェクトの4つの期待される成果
 成果1:森林情報システム整備に関するSADC加盟国の実施能力が向上する。(戦略分野(7))
 成果2:統合的森林火災管理に関するSADC加盟国の実施能力が向上する。(戦略分野(6))
 成果3:参加型森林管理に関するSADC加盟国の実施能力が向上する。(戦略分野(4))
 成果4:SADC事務局の上記成果1~3を調整する能力が向上する。(戦略分野(8))

<成果1 森林情報> ポータルサイト(Website)構築のイメージ

<成果2 森林火災> 域内Guideline(FFM-R/GL)作成のイメージ

<成果3 参加型森林管理> PFM活動のイメージ

成果1(森林情報)域内研修の様子 成果1(森林情報)域内研修サイト視察の様子
成果2(森林火災)計画火入れ研修の様子 成果2(森林火災)計画火入れ研修の様子
成果3(参加型)域内研修グループ討議の様子 成果3(参加型)Workshopサイト視察の様子


COMIFAC諸国における生物多様性保全・利用および気候変動対策促進プロジェクト

プロジェクトの概要
 発注者:独立行政法人 国際協力機構(JICA)
 実施期間:5年(2015年8月から2020年8月)
 実施機関:中部アフリカ森林協議会(COMIFAC、本部カメルーン)
 対象エリア:COMIFAC加盟10ヶ国(ブルンジ、カメルーン、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国、中央アフリカ、ガボン、赤道ギニア、ルワンダ、サントメ・プリンシペ、チャド)
 プロジェクトの目標:COMIFAC加盟国において森林生態系の保全及び持続的管理を促進する。

Sources: National Geographic, Esri, Garmin, HERE, UNEP-WCMC, USGS, NASA, ESA, METI, NRCAN, GEBCO, NOAA, increment P Corp.

背景
 コンゴ盆地に広がる森林はアマゾンに次ぐ世界第2の森林面積を誇る熱帯雨林であり、生物多様性の宝庫ともなっています。一方で森林減少率は人口の増加に伴う地域住民の過剰利用による森林減少や違法伐採による森林劣化等によって近年0.09%/年(1990-2000)から0.17%/年(2000-2005)(世銀 2013)へと加速しています。
 これに対処するため、域内各国は個々に努力してきましたが、十分な対応を取ることは困難でした。このため、コンゴ盆地に位置する中部アフリカ諸国では中部アフリカ森林協議会(COMIFAC)を設立し、2005年より、様々なドナーの協力を得ながら、地域一体となって森林保全や生物多様性保全を中心とした政策強化や、組織強化の活動を行ってきましたが、気候変動対策や生物多様性保全・利用分野についての人的リソースが不足しており、有効な手立てが講じられていませんでした。
 このため、本プロジェクトでは、気候変動対策や生物多様性保全など各分野に設置されたワーキンググループを含むCOMIFAC事務局および加盟各国の調整官の能力強化を通して、中部アフリカ地域における森林保全、生物多様性保全の推進を目指しています。

プロジェクトに期待される成果
 成果1:気候変動対策ワーキンググループ(GTCCC)および森林ガバナンスワーキンググループ(GTGF)の活動が強化される。
  <主な活動>ワーキンググループ支援、森林モニタリング研修の実施
 成果2:生物多様性保全ワーキンググループ(GTBAC)の活動が強化される。
  <主な活動>ワーキンググループ支援、生物資源アクセスと利益分配(ABS)にかかる研修・フォーラムの実施、TRIDOM(カメルーン、コンゴ共和国、ガボンの国境周辺にある9つの保護区を包括するランドスケープ)管理改善にかかるパイロットプロジェクト
 成果3:COMIFAC各国調整官の活動が強化される。
    <主な活動>加盟各国における普及会議の支援

成果1 リモートセンシング現地
確認実習の様子
成果1 リモートセンシング解析
授業の様子
成果2 実験風景
TORIDOMの範囲
成果2 研修生による発表
 
 
 
 
成果2 TORIDOMの範囲

成果2 TORIDOM ワークショップの開催
成果2 TRIDOMの住民が木の実を処理しているところ
成果3 様々なドナーが協力して会議を開催 成果3 会議の様子


イラン国カルーン河上流域における参加型森林・草地管理能力強化プロジェクト

プロジェクトの概要
 発注者:独立行政法人 国際協力機構(JICA)
 実施期間:5年(2018年3月から2023年7月)
 相手国関係官庁・機関:イラン国 森林牧草地流域管理機構
(Forest, Rangeland and Watershed Management Organization: FRWO)及び対象州の自然資源流域管理局
(Natural Resources and Watershed Management General Office: NRWGO)
 対象エリア:カルーン河流域6〜7州(チャハールマハール・バフティヤーリ州、ローレスタン州、コヒルイエ・ボイヤールアハマッド州、フーゼスタン州、イスファハーン州、ファールス州、(マルカジ州))
 プロジェクトの目標:カルーン河流域におけるIWMに関わる政府機関の実施能力が強化される。

背景
 イラン南西部を流れるカルーン河は、国内最大の流域面積(約7万km2)を有しており、7州にまたがっています。近年この流域では、土壌侵食、土石流、地滑りなどの自然災害が発生しており、その原因として、上流域における違法伐採や家畜の過放牧による土地被覆の減少などが指摘されています。
 これまでのJICAの開発調査や技術協力プロジェクトにより、これらの流域管理のためのマスタープランが策定され、また過剰な森林利用や過放牧による土地の荒廃を断ち切るために、住民参加による森林草地管理技術(Participatory Forest and Rangeland Management: PFRM)が一部の地域に導入されてきています。
 一方、NRWGOの上位機関に当たるFRWOは近年、流域保全のために森林や草地のみならず農地等を含めた流域全体を考慮し、関係他機関や地域住民の協力も得て、統合的流域管理(Integrated Watershed Management: IWM)を実施していく方針を打ち出し、これまでのプロジェクト成果や新たな日本の技術も活用しつつIWMを実施していく体制を構築しようとしています。
 このような状況のもと、本プロジェクトではこれまでのプロジェクト成果の広域展開や、土壌侵食等の災害防止のための治山工事と生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)を組み合わせた複合的アプローチの導入、IWMに係る職員の能力向上、またそれらの活動が持続的に実施されるための組織的能力向上を目的として、2018年から5年間に渡り活動を実施することとなりました。

プロジェクトの5つの期待される成果
 成果1:IWMの実施枠組みの能力が向上する。(カルーン河流域の6州)
 成果2:IWMの技術能力が向上する。(カルーン河流域の6州)
 成果3:JICAプロジェクトで支援された参加型森林・草地管理が強化され、IWMに統合される(CB州)
 成果4:IWMの枠組みの中で参加型森林・草地管理の実施能力が向上する。(優先2州)
 成果5:IWMでの適切な参加型森林・草地管理に向けた知識が向上する。(カルーン河流域の6州)
プロジェクトの概要

森林の状況(概観) 森林の状況(林床)
草地の状況 土壌浸食の状況

 

ベトナム国持続的自然資源管理プロジェクト

プロジェクトの概要
 発注者:独立行政法人 国際協力機構(JICA)
 実施期間:5年(2015年8月から2020年8月)
 実施機関:農業農村開発省森林総局、天然資源環境省生物保全局、5地方省
 対象エリア:ディエンビエン省、ソンラ省、 ライチャウ省、ホアビン省、ラムドン省、他ドナーが支援する省
 プロジェクトの目標:持続的自然資源管理に必要な関係者(農業・農村開発省森林総局、天然資源環境省生物多様性保全局、5地方省)の能力が強化される。

背景
 東南アジアに位置するベトナムは、南北に細長く地形や気候が変化に富んでおり、多様な生態系を有しています。国土は約33万km2、人口は約9,270万人の国です。1943年に国土の43%を占めていた森林は、農地の転用や違法伐採等により1995年に28%にまで減少しました。その後の植林や森林保全政策によって、森林率は40%近くまで回復しましたが、面積だけではなく、質の向上や持続的な自然資源の管理が求められています。また人口の2割以上にあたる人々が森林等の自然資源に依存した生活を送っており、資源の持続的な管理は環境保全の面のみならず、グリーン成長や貧困削減、地方開発においても重要な課題であると認識されています。
 JICAはベトナムにおいて自然資源に対する課題を解決するために技術協力プロジェクトを展開してきており、ベトナム政府はこれまでのJICA協力の成果を自然資源管理にかかる主要な政策の改定や、REDD+関連政策に反映すること、さらに同協力の成果を他地域へ展開していくことを期待し、政策支援と現場支援、農業・農村開発省と天然資源環境省との連携促進を包括的に実施するためのプロジェクトを実施しています。
 
プロジェクトの4つの期待される成果
 成果1:自然資源管理に関する主要政策の形成と実施が促進される。
 成果2:省REDD+行動計画の実施を通じて持続可能な森林管理が推進される。
    (ディエンビエン省、ライチャウ省、ソンラ省、ホアビン省)
 成果3:ビズップ・ヌイバ国立公園を中心とするランビエン生物圏の持続的保全と
     管理のための統合的な協働生態系管理システムが構築される。
 成果4:関係者間で、成果1〜3を通じて得られた知見の融合と共有が進む。
(当協会では成果1〜4の中で、森林モニタリングに関する活動を主に支援しています。)

※本プロジェクトの情報は、JICAホームページからもご覧になれます。
https://www.jica.go.jp/project/vietnam/037/index.html
 
森林管理を効率的に実施するためのタブレットPCを用いた森林モニタリング手法の概念図


タブレットPCを用いた森林モニタリング手法を練習する森林官 タブレットPCを用いた森林モニタリングの様子
タブレットPCを利用した森林モニタリングのワークショップの様子 ベトナムの森林の様子 本邦研修でドローンを操縦する研修生
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