『森林・林業の再生』に向けて、森林経営計画に基づいて集約化した間伐や路網整備等を主体とした森林施業の実施(平成24年度10万ha)が、政策目標として求められています。 持続的な林業経営のためには、まず森林や立木等の山林の実態を把握することが必要です。 それは、人工林や天然林がどのような場所に、どのような状態で存在しているのかを正確に把握することから始まります。山林の境界、面積や持ち山の立木の材積、品質などの情報は、林業経営を行っていくうえでの基礎的な情報です。 日林協は、空中写真や正射写真図を始め後述するリモートセンシング技術等を活用して、正確な山の実態を皆様にお伝えします。 |
森林調査と立木評価
![]() 東京都花粉対策における立木調査 ![]() 中部局保護林モニタリング(円形プロット) |
私たちは、国や市町村などの森林調査や都道府県の花粉対策、収穫予想表改訂のための調査、森林のモニタリング、間伐区域の選定のための調査等を行い、立木の売り払い、森林施業や間伐の推進に寄与しています。
また、空中写真を利用して作業の効率化を図るとともに、林相図、森林簿の作成や立木評価も行っています。立木評価については、民間企業の財産評価、都道府県の森林評価、公共事業に係る森林評価、山火事跡地の森林評価などを行っています。
<農林水産省の指定調査機関>
日林協は、これまでの豊富な森林調査の実績を踏まえ、国有林野の管理経営に関する法律(昭和26年法律第246号)の規定に基づき、農林水産省の指定調査機関に指定(農林水産省指令18林国業第134号)されています。また、独立行政法人森林総合研究所森林農地整備センターの指定調査機関にも指定(16緑機森第816号)されています。これらの指定調査機関として、主伐や間伐の収穫調査を実施しています。
森林境界測量
森林境界測量は、森林所有界を確認しその森林現況を把握した森林施業の集約化を図る必須要件となります。さらに、その効率化を支援するため、GNSS(Global Navigation Satellite Systems)測量技術やそれらの成果を有効に活用するGIS技術が求められています。 私たちは、その技術を活かして、境界図の作成事業に参加しています。 境界図は、現地での境界確認を行い(森林基本図及び国土調査の地籍図等の資料を参考に)空中三角測量を行い、デジタル図化機により作成します。 また、多摩地域などにおいて、GNSS測量技術を適用した境界確定測量を試行的に実施しています。現状では、急傾斜谷部において衛星取得数が少なく、十分な精度を確保できない 箇所があり、コンパス測量等で補足していますが、日進月歩の最新技術を順応的に取り込み、効率的な森林管理を目指しています。 | ![]() デジタル図化による境界図 ![]() ![]() GNSS測量による境界測量とその操作画面 |
森林吸収機能評価
![]() ![]() 森林吸収源機能評価における 各種森林調査の状況 |
『緑の循環』認証会議(SGEC)の審査機関として、森林の生物多様性保全のほか、二酸化炭素吸収量の評価を行うフォレストック調査を行い、適正な森林経営の推進に寄与しています。( → 詳しくはこちら)。
また、オフセット・クレジット制度(J-VER制度;Verified Emission Reduction)における申請書の作成やモニタリング調査を行います。当協会は、林分材積収穫表の作成や森林評価のノウハウを活用し、適正な対応をいたします。
空中写真の利活用、航測検査、研修等
各種空中写真の撮影成果をもとに、地形図、正射写真図、土地利用図、環境保全図等の各種の地図を作成します。また、最新のデジタルオルソフォトマップ システムの導入により、ユーザへの多様な森林情報の提供を図っています。また、空中写真及び正射写真図を利用して、地籍図に合わせて林相判読を行い、森林計画樹立に必要な森林簿の作成も行っています。さらに、多くの森林技術者が空中写真等を活用して、林相判読や森林簿の作成ができるよう、森林組合等からの依頼により現地研修も実施しています。 なお、日林協は、森林情報士(森林航測・森林GIS・リモートセンシング)の研修・資格認定を毎年行っています( → 詳しくはこちら)。 * | ![]() |
航空機により撮影される国有林・民有林の空中写真は、その統一した精度の確保と技術向上が欠かせません。当協会は、航測検査業務として、空中写真や正射写真図(オルソフォトマップ)等空中写真測量成果の精度分析を行っています。 | ![]() 空中写真並びに測量成果の精度分析の状況 |
森林施業と除染
![]() ![]() 森林除染の実証事業 |
東日本大震災に伴い発生した原子力発電所事故により放射性物質に汚染された地域では、避難している住民等のふるさとへの帰還等に向けて除染等を推進することとなっています。
汚染された地域の約7割を占める森林は、用材生産はもとより水源涵養など公益的機能を担っており、慎重な取り扱いが必要です。
このため、災害などによる放射性物質の拡散を防止しつつ、徐々に低減させていく技術の検証・開発を行うことを目的として、保育・伐採等の森林施業や表土流出防止工・濁水防止工等の設置による放射性物質拡散防止及び低減効果を検証する調査が行われています。
当協会では、他社との協力のもと、上記の調査及び技術検証・開発を福島県において行っています。