平成17年度

竹博士が取り組む画期的な観光事業竹炭窯サウナ(炭窯スエット) 静岡県南伊豆町みなみいずたけ炭ひろば 山本剛さん

●大暴落から竹炭ブーム、そしてブームの終焉

 誰が、こんな突拍子もないアイデアを想像できただろうか。
 炭を取り出した後の炭窯、その余熱を利用した温浴サウナなんて――。
「実は、僕ら炭焼きをする人たちは、昔からよく炭を取り出した後の窯の中で寝ていたんです。気持ちがいいから朝までね」こう話すのは、「みなみいずたけ炭ひろば」代表の山本剛(やまもとつよし)さんである。
 静岡県南伊豆町一条(いちじょう)は、竹林が広がり、果樹栽培が盛んな海沿いの地域。温泉などもあり、中高年の観光客も多い場所である。さらに、いい波が発生することから、サーフィンのメッカでもある。
 この地で、山本さんは竹炭づくりを15、6年に渡って取り組んできた。
 それ以前は、主にタケノコ採集で生計を立てていたという。

美しい姿を見せる山本さん所有の竹林

竹の可能性を追求する「みなみいずたけ炭ひろば」

 しかし、昭和50年代後半、中国産のタケノコ水煮缶詰が日本市場を席巻したために、加工向けのタケノコは行き場を失い、山本さんはハッサクなどの果樹栽培とともに、農閑期の楽しみとして竹炭を焼くことにした。本格的にやりだしたのは、約10年前のこと。静岡県から出してもらった補助金で窯を作り、竹炭を焼き出した。
 その直後、降って湧いたように「竹炭ブーム」がやってきた。
「でも、僕は『売る』というつもりではじめたわけじゃなく、ただ請われて竹炭を焼いて売っていただけなんです。だから、出来すぎた話だったんですね」
 しかし今や、そのブームは去り、「さて、どうしていこうかという段階」だった。そんな山本さんは、仲間の一言で炭窯を利用したサウナに乗り出すことになる。
「地元の仲間と一緒に、窯の中で酒を飲んだりしていたんですよ。そしたら、仲間の一人が『これはいいぞ!』と言い出した」それが4年前のこと。その後も多くの人が「絶対に商売になる」と太鼓判を押すようになり、いよいよ山本さんもその気になっていった。