平成17年度

薩摩つげをめぐるある事件木材じゃなかった薩摩つげ!? 鹿児島鹿児島市下曽山真一さん 若林至さん

そして、下曽山さんの先祖らが100年以上前から品質改良のために挿し木を繰り返してきたために、成長のいいものだけが残され、「薩摩つげ」というブランドが生まれたのである。
 しかし、ここにきて下曽山さんはじめ薩摩つげ加工業者たちに、思ってもみない事態が降りかかる。

●つげは木材じゃない?!

「公正取引委員会が、外国産の『本つげ』に、原産地と原材料も明示するように、というガイドラインを発表したんです」と下曽山さん。
 業界ではなく、消費者サイドからのクレームで公正取引委員会が動き出したというのだ。
「シャムツゲ」と呼ばれる外国産のつげには、外国産または原産国名と「アカネ」(材木がアカネ科だったため)という名がつくことになり、国産品と一目で違いが分かることになった。その執行の猶予は約2年。
 現在、薩摩つげとシャムツゲのシェアは、約半々である。東日本ではシャムツゲが多く、西日本では薩摩つげが多くを占めている。
 本来ならば、本家の薩摩つげ業者にとっては朗報であるはずだった。
 しかし、それはそれで問題だったのだ。
「私たちは、外国産のつげが出回っていても、需要優先で仕事をしてきたんです。業界主導でね。

ほんの小さなシミも見逃さない

印材にする大きさにカットしていく

大量には採れない薩摩つげだったから、大きな儲けはなくとも回ってはいた。ところが、今回のガイドラインにより、これまでのつげの生産を見直す必要が出てきたわけなんです」
 薩摩つげとシャムツゲの需要のバランスが崩れる――、ということは、現在のままではつげの生産が追いつかないことになる。
 

つげは害虫がつきやすいのが難点

南薩ではこうした民家の垣根に
つげが植えられている