山村力(やまぢから)コンクール

第4回山村力コンクール

第4回山村力コンクール  【団体の部】  林野庁長官賞

山村留学が生み出した交流による地域づくり
  • 団体名等:東沢(ひがしざわ)山村留学協力会
  • 自治体名:山形県 川西町
林野庁長官賞Photo

1988年に地域で生まれた子どもが2人となった川西町東沢地区(旧玉庭村)では、都市との交流で地域活性化を図ろうと、1991年に地区全戸加入の「東沢山村留学協力会」を設立。ダリアの花の縁で交流のあった東京都町田市の児童を対象に「やんちゃ留学」と名づけた山村留学が始まった。

これまでの19年間に、短期留学生(夏休み、4泊5日)約600名、長期留学生(1年間を基本)40名を農家に寄宿するホームスティで受け入れてきた。また、町田市の家族を東沢地区の収穫感謝祭に招く同窓会の開催、留学生の里親会の町田市訪問など、相互交流を行っている。

長年の交流から、留学生保護者を中心とする「まちだ夢里(ゆめり)の会」が2004年に結成され、夢里の会への東沢の米直販や首都圏に展開するおにぎり専門店への特別栽培米の納入が始まった。このほか、東沢地区では、2006年に「東沢地区協働のまちづくり推進会議」を創設し、新たな「東沢地区計画」に基づき、地域ブランド育成のための研究所が設立され、様々な生産組織も産声を上げている。

山村留学という一つの手法を契機として、地域づくりへと発展させたモデルは、他地域にも大いに参考になると評価された。


第4回山村力コンクール  【団体の部】  全国山村振興連盟会長賞

遠野ドライビングスクール体験型グリーン・ツーリズム
  • 団体名等:遠野ドライビングスクール
  • 自治体名:岩手県 遠野市
全国山村振興連盟会長賞Photo

遠野ドライビングスクールは、2004年に開校し、自動車合宿免許教習を基本としつつ、地域資源を活用し、都会ではできない体験活動を合宿教習の合間に行っている。内容としては、農家に民泊しての乗馬体験、そば打ち体験、農業体験などで、思い出作りにもなっている。

また、スクールの閑散期を利用して、いち早く農業への参入も行い、農薬を使用しない安全な米作り、雑穀のアマランサス、遠野産アイコのジュースに加えて、ホダ木による原木シイタケ栽培を行うなど、地域農業と連携した遠野ドライビングスクールならではの取組を展開している。

少子化→地方の自動車教習所の経営環境悪化→合宿免許受入というビジネスモデルに、グリーン・ツーリズムを組み合わせた点が新しい交流の形として高く評価された。


第4回山村力コンクール  【団体の部】  審査委員会長賞

埼玉の木の銀行
  • 団体名等:特定非営利活動法人「木の家だいすきの会」
  • 自治体名:埼玉県
審査委員会長賞Photo

「埼玉の木の銀行」は、「木の家に住みたい」という県民と「県産材を適正な価格で提供したい」という林業家・素材生産者・製材所を結び、森林の保全につなげようという試みである。

2006年に県民を対象にした調査では、希望する住まいについて約7割の人が「大工・工務店による木の家」と回答しているが、実際に地域材を使った木の家を建てようとした場合、どこで木材を入手したらよいかわからない、という声を耳にする。

このため、第1段階として、県産木材を貯木(天然乾燥)し、同時に展示販売を行う施設をときがわ町と飯能市に開設した。第2段階として現在は、天然乾燥木材の品質確保のため部材の規格化に取り組んでいる。さらに第3段階は、資金調達の仕組みの確立で、森林再生に投資するエコファンド(ウッドマネー)をつくり、投資した県民に優先的に販売する仕組みを考えている。

これまで、2つの貯木展示施設の開設により、埼玉県内及び東京都内の工務店が容易に県産天然乾燥木材を入手できるようになった。また、貯木場の運営に林業家、製材所、設計事務所、工務店などが参加をすることで、住宅の建築工法に応じた木材の品質確保の必要性が認識され始めるなど、消費者ニーズが山側に伝わりやすくなった。

県産材を木の銀行にストックするという着眼点は、他地域にとっても参考になると評価された。

今後、積極的な情報発信や品質規格等の整備が期待される。


若者と山村のコラボレーションが日本の未来を創る
  • 団体名等:「Shall we forest TOKYO」
  • 自治体名:東京都 檜原村(ひのはらむら)
審査委員会長賞Photo

「Shall we forest TOKYO」は、都市と山村を結ぶ社会教育事業を前身に持つ。1986年から東京都五日市青年の家で檜原村の林業家田中惣次(たなかそうじ)氏と連携し、林業体験を軸に都市と山村を結ぶ「木と人のネットワーク」を開始した。数年後に「森林ボランティア講座」に発展し、20年に渡る活動は、多くの森林ボランティアの育成や森林づくりグループ結成のきっかけになってきた。2005年に東京都青年の家の全廃を機に、事業を継続するため、青年の家の職員と青年のボランティアと林業家が協力して、本団体が設立された。

本団体では、東京の青年が森林を守る「森林リーダー」の育成と100年の森づくりの継続を目的に、毎年4〜5回の公募型の森林ボランティアのワークキャンプを実施している。ワークキャンプでは、宿泊(1泊〜3泊)して林業作業を行い、1年間で林業作業が一通り体験できる。作業は、道づくり、下刈り、枝打ち、間伐で、プロの林業家から指導を受ける。また、森林や地域の学習、先進地域の視察研修も行っている。

開始3年間の延べ参加者数は300名を越え、現在の会員数110名、平均年齢22.3歳と青年を対象にした活動は効果を上げている。

意欲の高い林業家の存在を核にした取り組みであり、一定の成果を挙げている。

新しい時代の林業の担い手として若者に注目し、都市近郊で展開される森林ボランティア活動に林業の将来を期待したい。


木材の地産地消 地元の木を使おう!
  • 団体名等:京都府立北桑田高等学校 森林リサーチ科
  • 自治体名:京都府 京都市
審査委員会長賞Photo

京都府立北桑田高等学校は、1944年 北桑田農林学校として開校し、1993年に林業科から学科改編され、木材加工等の最新の機械を実習等に導入し、従来の育林、林業経営中心から「木材にいかに付加価値を付け販路を拡大するか」を考える森林リサーチ科に生まれ変わった。

森林リサーチ科は、2006年に京都府から木材の地産地消に取り組む「府内産木材取扱事業体」として認定を受けた(学校では初)。2007年には、京都大学が開発した「J‐pod工法(間伐材を有効利用する新建築工法)」でモデルハウスを試作し、地元の木の新しい利用法を提案した。このほか、演習林で生産された木材を学校に持ち帰り、年間5〜6棟のログハウス、公園の東屋建築をはじめ、磨き丸太や低級材を活用した家具木工製品など、年間100〜150m3の木材を、生徒の実習により、受注生産している。木製品販売時には、「地元産木材を使用するとどれだけCO2排出が削減できるか」というウッドマイレージのPR活動も行っている。

地域の林業・木材業を支える人材の養成を目的に設立された本校が、地域の社会課題に幅広く取り組む本事例は高く評価できる。


対話と交流のある特産品づくり
  • 団体名等:那岐(なぎ)特産品開発研究会
  • 自治体名:鳥取県 智頭町
審査委員会長賞Photo

昭和50年代に過疎化が見られるようになった智頭町の奥部で、地元郵便局長から「地域産物を生かした無人販売の店舗を始めてみないか」と提案され、地域の女性5人が集まって1987年に「那岐特産品開発研究会」を結成、一坪ながらも赤いボディにとんがり屋根のおしゃれな無人販売店舗がオープンした。

1992年には「野菜小包」(5月〜12月の8ヶ月間毎月1回)の発送を、1993年には「かき餅セット」を始めた。野菜小包は、旬の野菜を8品目から12品目程度にし、山菜、野草、梅干等を組み合わせて山里の四季を彷彿させるように心を配っている。また、かき餅は、藁で編み上げた柚子、紫蘇、黒豆等の5種類の昔ながらのかき餅である。

小包やかき餅セットには、チラシやお便りを添えて、食べ方などを紹介し、また、アンケートをとって消費者の声を聞くようこころがけている。1996年からは野菜小包のお客様を招いての一泊交流会と那岐地区の独居老人へ「かき餅」配りを始めた。2003年からは「田舎暮らし体験ツアー」を開催している。現在、会員25名、全員60歳以上、平均年齢74歳のメンバーで「お肌つやつや、計算ばりばり、生き生き80歳」を合言葉として、活動を継続している。

山村地域の主婦たちが始めた活動が、単なる販売ではなく、「心の交流」という金銭以上の価値を、買う側にも届ける暖かい取り組みとして、他所の手本ともなる活動として評価された。


「新・木造の家」設計コンペ
  • 団体名等:特定非営利活動法人「森林(もり)をつくろう」
  • 自治体名:佐賀県 神埼市
審査委員会長賞Photo

特定非営利活動法人「森林をつくろう」では、「新・木造の家」設計コンペを、これまで5回実施してきた。その趣旨は、日本の木の良さや木造の素晴らしさを多くの人に知ってもらい、林業から木材、木造について正確な知識を有した、将来にわたり活躍する設計士を育成するために始めたものである。

内容としては、全国の大学生・大学院生および高等専門学校生を対象に伝統構法による木造住宅の提案を募集、一次審査を通過した学生を佐賀県へ招待し、最終審査(公開プレゼンテーション)を実施、優秀作品に選ばれた作品の中から1点を専門家のアドバイスの下、修正を加えながら実際に施工するコンペである。

これまで5回の実施により、90組の学生からの作品応募があり、25組ほどの学生と、専門家や地域で活躍する林業、木材業、大工・左官業等の職人の方々が交流する機会の提供ができ、実際に住宅を施工することで、職人や地域の活力を活かすことのできる取組として継続している。

次代を担う学生が、森林、林業、木造住宅づくりへの理解を深めるきっかけとなっており、評価できる。


地域再生(行政に頼らない)
  • 団体名等:柳谷(やねだん)自治公民館
  • 自治体名:鹿児島県 鹿屋市
審査委員会長賞Photo

柳谷(やねだん)自治公民館では、1996年以来、現在まで、公民館長を中心に行政に頼らない「むら」づくりに取り組んでいる。

当初、住民の心を一つにするため住民労働奉仕により「運動遊園」建設を行ったのをはじめ、集落営農で遊休地を活用したさつまいも生産と焼酎の開発、土着菌の製造・販売による生ごみや家畜ふん尿の堆肥化、未来館とそば屋の経営などに取り組み、独自の活動資金を確保している。また、これらの自主財源をもとに、独居老人宅への緊急警報器の設置、足腰の弱い高齢者へのシルバーカート貸与、小・中学生を対象にした寺小屋の運営補助、自治会費の値下げなどを実施するとともに、更に、空家を迎賓館として改修し、芸術家7人が移住してきている。

このように、約130戸、300人の柳谷集落の住民が「結」を取り戻し、自主財源を確保し、文化と感動あふれる「やねだん」に再生。集落の人口も31人増加している。

自主財源にこだわり、地域の人たち自身の力で再生に取り組む事例として、評価された。また、財源確保だけでなく、地域の絆づくり、ソーシャルキャピタル醸成などにも配慮し、総合的な社会デザインを行う本取り組みは、他地域の参考になるであろう。


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