山村力(やまぢから)コンクール

第4回山村力コンクール

第4回山村力コンクール  【個人の部】  林野庁長官賞

絶望の淵で希望の光 山は地域の宝だ!〜新たな特産品づくり、地域づくりによる農山村の再生〜
  • 受賞者名:田中 幸一
  • 自治体名:島根県 津和野町
個人の部長官賞Photo

田中幸一氏は、1973年、農林水産省茶業試験場の研修所を卒業後、20歳で帰町し、45アールの荒茶生産と直売の専業農家として、経営を引き継いだ。しかし、当時の日原町商人集落は、林野率が97.3%と耕地が殆どなく、集落の世帯の殆どは集落外に働き場(森林組合の造林班)を求め、昼間に居る者は高齢者と本人のみという状況にあった。そうした中、同氏は、1985年ヘリコプターから集落を見下ろす機会に恵まれ、「山に自生する植物こそが我々の宝」であることにひらめき、この宝を商品化できれば産地になる確信を持つに至った。

同氏は、商人集落における榊生産立上げの中心メンバーとして尽力し、1989年に集落のほぼ全戸に当たる20戸による「商人榊生産組合」を設立。組合員は、本格的な榊園の造成を始め、これまで7.7ha、約3万1千本の榊を植栽した。近年は、50束入り約1,000ケースを益田市と浜田市の青果市場に出荷しており、販売金額は2千万円に近い。また、タラの芽、こごみなど山菜栽培を手がけ、益田圏域を含む51名の組合員からなる「日原タラの芽生産組合」の組合長として、「日原タラの芽」を北九州市場のトップブランドに押し上げた。

山村地域の自立を目指して榊や山菜栽培に取り組んだ活動が着実な成果を生み出した好事例。事業の展開には社会デザイン手法が活かされており高く評価できる。また、経済効果も着実に上がっている。

第4回山村力コンクール  【個人の部】  全国山村振興連盟会長賞

森林と限界集落(山村)の再生
  • 受賞者名:特定非営利活動法人「土佐の森・救援隊」会長 橋詰 壽男(はしづめ としお)
  • 自治体名:高知県
全国山村振興連盟会長賞Photo

橋詰壽男氏は、高知県土佐山田町生まれ、愛媛農林専門学校(現愛媛大学農学部)卒業後、高知県に入庁、1985年県庁を退職。同氏は、長年森林・林業政策に関わる中で、林業全盛時代から衰退・停滞時代の最前線で様々な体験と苦渋をなめてきた経緯を林業再興に貢献するために、2003年、高知県で初の森林保全NPO「土佐の森・救援隊」を立ち上げた。

以来、会長として、実践的な森林保全活動はもとより、森林ボランティアのリーダーの養成、新規森林ボランティア団体の立ち上げ運営の支援を行い、さらに独自の地域通貨「モリ券」を導入、また、木質バイオマス地域循環システムの実証実験などに取り組み、高知県における本格的な森林ボランティア活動の礎を築いた。

現在は、いの町「未来の森」等の町有林や「633美の森」等民有林を拠点に、森林ボランティア活動を地域おこし、地域づくりに繋げ、森林ツーリズム運動や小規模林業推進運動として広げ、地域の活性化に寄与している。

取り組みの独自性が高く、着実に成果を上げており、社会的な評価も得ている。

今後はそれを活かした他地域の「救援」といった形での活動・指導力にも期待したい。

第4回山村力コンクール  【個人の部】  審査委員会長賞

子育て中の母がつくる未利用地域資源である「ヒノキの枝」を使った「積み木」
  • 受賞者名:「積み木作家まゆ」御子柴 真由美(みこしば まゆみ) 
  • 自治体名:愛媛県 新居浜市
審査委員会長賞Photo

御子柴真由美氏は、子ども3人とともに、高知県いの町の林業を営む両親の元へUターンした。父の手伝いをしている時に「山に放置されているヒノキの枝を見て、自分の子どもに何か作ってやりたい」と思い、また、子育てをしながらできる仕事として、2007年に、「積み木作家」として事業を開始。

積み木は、ヒノキの枝を材料に、1〜3ヶ月乾燥し、輪切りにして、ナタで形を整え、ヤスリで磨いて完成させる。定番の立方体や三角柱でなく、木の材質をそのまま生かした五感に響くものとなっている。

販売は、ネット等で行っており、障害を持つ方や子育て中のお母さんたちと一緒に製作している。

最近は、体験型観光としての店舗兼作業所の開設や他の地域との連携等活動の幅を拡大している。

未利用資源の活用、環境教育、就労条件の制約がある人たちへの雇用創出といった複数の社会課題の解決につながる取り組みとして評価された。

第4回山村力コンクール  【個人の部】  審査委員会長賞

山岳部森林環境保全に向け里地で空中回廊(キャノピーウォーク)体験
  • 受賞者名:「梢回廊(こずえかいろう) キャノッピ」 中田 隆昭(なかた たかあき)
  • 自治体名:鹿児島県 屋久島町
審査委員会長賞Photo

中田隆昭氏は、1974年昆虫採集をきっかけとして屋久島に関わり始め、1990年屋久島に移住し、エコツアー等を実施してきた。現在、屋久島では縄文杉に代表される一局集中観光のあおりを受け、根の踏みつけや登山道幅の広がりが顕著となり、今後さらなる悪化が懸念されている。山岳部の自然環境が少しでも永く存続される工夫として、里地域に豊富にある照葉樹林にて、林床を踏まない新たな自然との接し方を提案するため、2005年に有限会社キャノッピ屋久島を設立し、2009年3月に、キャノピーウォークが完成した。

キャノピーウォークの特徴としては、樹冠を歩く空中回廊(全長150m)により、鳥や蝶の目線で樹林を巡る新感覚を体験してもらいながら、里での生活にまつわる植物利用の話などを含め、里地を楽しんでもらうもの。3月の開設以来10月までに体験者が1,000人に達し、地元民や学校関係の遠足利用も始まり出した。

屋久島の大自然の保全のためにも、保護区域以外でのアクティビティの導入も必要であり、多くの人々に森の魅力を新しい形で伝えようとする取り組みが評価された。

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